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スキル特化を思えばこれでもゆったりとしたペースではないだろうか。
「本当に、ユーリスに似てきたね」
「まだ父上のような立派な男にはなれません」
恥ずかしながら言えば、母は笑って「あっという間だよ」なんて言う。同時に頭を撫でるのだから、子供心に嬉しいやら、微妙な悔しさやらで複雑だ。
身長はまだ少しだけ母の方が高い。それでもあと少しだと思う。
育ち盛りというものらしく、ぐんぐんと背は伸びている。
いつか母の背を超えるのだろうと思うが、その日が楽しみでもある。
勉強と、それ以上に剣術や魔法の特訓をして、父の背を追っている。
父はいつまでも俺の憧れだ。
冒険者として世界を回っていた父は、色んな事を知っている。
10歳の時には初めて国を出て1ヶ月ほどの冒険旅行に出た。何故か母も。
理由は「マコトの料理はとても美味しい」という事らしいのだが、それならマジックバッグに料理を詰めて貰えばいいのにと思った。
でも、言わなかった。
結局父は母を片時も手放したくないのだろう。先の発言は言い訳だ。
何にしても楽しかった。
弟妹のお世話などもしていたから、母も少しそこから離れて羽根を伸ばしていたようだった。そして、母の作る料理は本当に美味しい。
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