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見ればルーセンスはすっかり呆けたように荒く息を吐き、解放された足はズルリとシーツを滑って落ちる。
涙をこぼす赤い瞳がを覗き込めば、腕が伸びて俺の髪を撫でる。
「良かったか?」
「はい…」
「…俺の嫁に、なってくれるか?」
どうしても俺はお前の言葉が欲しい。お前の気持ちが俺にあるのは分かったが、確かな言葉が欲しい。
穏やかに、赤い瞳が笑う。精悍なはずの顔が、情事に緩まり普段よりも柔らかく笑った。
「私で構わないのなら、お望みのままに」
「お前がいいんだ」
確かめて、穏やかに触れるキスをする。互いに合わせた肌の温かさと濡れた感触に、俺はようやく大事な者を手に入れたんだと安堵した。
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