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懐かしい思いに微笑み、つんと頬を指で押すと、アメジストのような瞳が薄らと開いて私を見つめる。スッと差し伸べられる手に身を任せて抱き寄せられ、触れる唇の優しさに甘えていられる。これも、毎朝の幸せ。
「早いな、シキ」
「ふふっ、そうですか? おはよう、アル」
「あぁ、おはよう」
するりと額にかかる髪を払い、雄々しい金の角に触れる。根元が気持ちいいのか、撫でると精悍な瞳が薄く細められ、もう一度、今度は深く口づけを受けた。
「朝から誘い込む様なことはしないでくれ。欲しくなる」
「朝議ですよ」
「分かっている。だが、そのように角の根元ばかりを撫でられるとたまらない。そういうのは、夜に頼む」
濡れたような声音は実に魅力的で、朝議が二時間後でなければこのまま抱かれるのもいいのですが…さすがにね。
その分たっぷりキスをして、舌を絡めて受け入れて、これで今朝はお預けとしましょう。
「まったく、悪い子だ」
「時間があるときにたっぷりとお相手しますよ、アル」
苦笑したアルファードに微笑みかけて、私は手早く支度を調えた。
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