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「実はお土産があるのですよ。昨日、竜人族の友人とお茶会がありましてね。余ったスイーツをもらってきましたので、お茶にしませんか?」
言えばピクリとランスが動く。彼はマコトさんのスイーツの美味しさを知っていますからね。その稀少さも。
竜人、黒龍族の王妃をしているマコトさんは、私と同じ異世界からの住人です。
私がまだアルファードの呪いを解くために奔走していた頃に偶然知り合い、懐かしさからあれこれ話してしまいました。そこで互いの事を知り、私を案じてくれたのが切っ掛けで、今もお茶会に呼んでくれるのです。
程なく庭先でお茶会となり、目の前には沢山のスイーツが並びます。本日はフルーツタルト(オレンジ&グレープフルーツ)に、ブラウニー、紅茶のシフォン、苺大福です。
彼は本当に器用で、料理が上手です。最近スイーツ好きのママ友、グラースさんの影響もあってかますます腕を上げています。
「本当に美味しい」
「伝えておきますよ」
これを言えばきっと、彼はまた喜ぶのでしょうね。
お茶を飲みながらスイーツを食べ、それとない話をしている。
その中でふと、ランスは気になる事を言い始めた。
「国境の森が、騒がしいのですか?」
問えばランスは少々複雑な顔をして頷いた。
「ヴィクトールの話では、B級ではあるものの大型種と中型種が蠢いているそうだ」
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