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その夜、掃討作戦が決行された。
事前にモンスターを1匹狩って、その死体をそのまま放置することで多くをおびき寄せる。血の臭いに誘われたモンスターが集まってきているのを、斥候の者達が伝えた。
「大型種4匹、中型種6匹を確認しました」
「囲んで結界張って。外に出さないようにだけ頼むよ」
緩い声で指示を出すヴィーの背後で、私も武器を手に馴染ませる。久々に触れる刀の感触はいいものだ。
「楽しそうだねぇ。シキ、戻ってくればいいのに」
ニヤリと笑うヴィーに、私も同じように笑う。
確かに心は躍るのだが、心配そうに眉根を寄せて出迎えるだろう人を思うと同意出来ないのが本心だ。
「王妃なんてつまらないでしょ? 戻ってきてくれると、僕も楽ができるんだけどなぁ」
「確かに退屈なんですけれどね。でも、アルが悲しむ事はできるだけ避けたいんですよ」
「じゃあ、今日は?」
「緊急事態って事にしておきますよ」
悪い笑みを互いに浮かべ、私はヴィーと一緒に結界の中へと入った。
中は既にモンスターの巣窟となっていた。ただ、まだ低級が多い。
「さすがに多いねぇ」
「散らしますよ」
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