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言うが早いか、私はアンデッドモンスターの群れの中へと走り込んでいた。
抜いた刀は昔に使っていた物を模して作ってもらったもの。日本刀と同じく切れ味がよく、滑らかに刃が滑る。同時に闇魔法を付与した刀は切ればそれだけでアンデッドを塵にする。
少し離れてヴィーも同じように戦っている。
彼の戦いはとても優美で綺麗だと思う。
指先から微量の魔力を糸のように編み上げ、それを絡めて切り刻む。自在に動かせる糸は強度も張りも自由にできるらしい。
闇夜に僅か、紫の煌めきがたゆたう光景は殺戮の場面でもどこか幻想的だった。
場はあらかた片付いた。誘われて現れた中型種も始末して灰にした。既に大型種も3体始末し終えて、残るは1体という所だった。
「鈍ってないよねぇ、シキ。ほんと、手伝ってよぉ」
「また増えたら手伝いますよ」
「普段もやってくれると楽ができるんだけどなぁ」
「では貴方がアルの相手をしますか?」
「…やっぱ、いいやぁ」
心底面倒そうな顔をしたヴィーに、私は笑う。そんなに面倒な相手ではないと思うのだけれど、ヴィーは苦手らしくてあまり関わりたがらない。ランスを通して知り合いのはずなのに。
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