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私は手の中の球体を地上に落とし、その中心をキマイラの胴の下へと設置した。
『沈め、沼底へ』
発動の合図はなんでもいい。ただ、それと分かれば。なので分かりやすく発動の言葉を伝えれば、闇は広がり思うとおりの効果を発揮する。
闇の中から現れた無数の手が、キマイラの体へ巻き付きドンドンと飲み込んでいく。暴れようとも決して許さず、やがて底なしの沼が獲物を飲み込むように、キマイラは消えて闇は静かに収束した。
「いつ見てもさぁ、シキの魔法ってえげつないねぇ」
「そうですか?」
嫌そうなヴィーが後ろで言う。けれどこれで、今日のお仕事はお終いです。互いにハイタッチをして、健闘をたたえ合いました。
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