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父と一緒にモンスター討伐をしたり、野宿の練習をしたり。夜には星を見上げて草原に寝転び、旅の思い出や両親のなれ初めなんかを聞いた。
母は異世界人だが、父と最初に出会えてラッキーだったと言う。そうじゃなかったら、今頃どうなっていたのか。
でも思うのだ。母はきっとどこででも愛される。
スキルがあるとか、そういうことではない。
優しくて、愛らしくて、母だというのに可愛いと思える時がある。
一緒にいる人を和やかに、そして温かく包んでくれる木漏れ日のような部分がある。これを嫌う人はいないだろう。
俺が将来誰かと結ばれるなら、母のような人がいい。そんな風に思っていると、父が冗談のように「マコトは俺のだぞ」と穏やかに笑う。
…あれは、息子に対する牽制だと思う。そして俺は自分の母となんて考えるほどの鬼畜ではない。何を心配しているのだ、父上。
鬼畜と言えばランセル様か。
2歳年上のランセル様の子アンテロとは今も兄弟のようだ。
彼にも一人弟がいて、俺は実の弟妹の他にそっちも弟のように可愛がっている。
アンテロの母上グラース様と俺の母はとても仲がいい。
二人とも甘党で、母の作る菓子をグラース様はとても喜んでいる。週に1回は会って、お互いの近況や子育ての相談をしている。
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