1951人が本棚に入れています
本棚に追加
/307ページ
【グラース視点】黒龍発スイーツパニック(★)
ランセルの幼馴染み、ユーリスの嫁マコトは人族の青年だ。
異世界人であり、特殊なスキル「安産」を持っている波瀾万丈な青年とは思えない柔らかな雰囲気と穏やかな気性の彼は、多くの子を産んでなおも逞しい、見た目に反する人物だ。
俺はランセルを通じて彼と知り合ったが、柔らかな中にしなやかな強さを見て驚いてしまった。そして俺としても、マコトの持つ雰囲気は好ましい。
直ぐに個人的に親睦を深め、今ではガロンの嫁ハロルドと、最近増えたシキという人族の青年も交えて「ママ会」なるものが、月に一度くらいの頻度で開かれるようになった。
ママ会の日、俺は朝から機嫌がいい。
ランセルもそれを察するのか、笑って「可愛い」などとほざく。俺を前にこういう言葉を選ぶのはコイツだけだろう。
マコトに話したら「特殊なフィルターがかかってるんだよ」という謎の言葉をもらった。ようは脳みそ湧いてるんだろうと認識した。
「グラースさん、いらっしゃい!」
ニコニコ笑って俺を迎えたマコトに、俺は頷いて手土産の紅茶を手渡す。
いつも貰ってばかりは申し訳ないし、聞けばこの世界の紅茶が美味しいと言っていたので差し入れるようにしている。
最初のコメントを投稿しよう!