刑事の夜

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 キスより先の、井上の本気なんて、求めてはいけなかったのだ。  香は布団の中で――泣いた。  去年の秋に破れた恋は、春になっても――散ったまま、叶わなかった。  その夜、井上が香のいる部屋に帰ってくることは、当然なかった。    ◇◇◇◇◇
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