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今日はマスターと私だけの静かな店内に
カランカランカラン・・・
ドアベルが鳴り響いた。
来客だ。
そして私は一切の動きを止めてマスターの声を一言一句聞き逃さないようにと耳を澄ます。
そう、私はあの「いらっしゃいませ」と渋い声でマスターが声をかける瞬間が好き。
でも、この時のマスターはいつもとは違った。
「いらっしゃ・・・・んん?・・・おや、ツバサ君じゃないか。どうしたんだい?」
マスターの声に戸惑いと余計な単語が混ざる。
何事かと入り口に目をやれば、マスターの子供と同じ年頃と思わしき男の子が扉の前に一人立っていた。
彼がツバサ君だとすぐに私は察した。
ツバサ君は店内を緊張した面持ちでぐるりと一通り見渡す。
そして私と目が合った瞬間、ツバサ君はわき目もふらずツカツカと歩み寄ってきたのだ。
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