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それはまるで豆台風が襲ってきたかのような瞬間であった。
その後、マスターが
「コーヒーのおかわりでも飲むかい」
と聞いてきたのでお願いした。
う~ん・・・まさか大人になって小学生から告白されるなんて。
戸惑いつつも言い知れぬ感情が沸き上がり顔が自然と綻んでしまう。
何もかもが初めてだった。
小学生から「すき」といわれたこと。
人から花をもらったこと。
そして子供からプレゼントをもらったこと。
子供が好きだが直接子供と関わる機会は皆無だった私には新鮮な驚きと感動。
そして照れくさいことこの上ないのだ。
さりげなくコスモスを目の前に翳してみる。
おそらく道端に咲いてるコスモスを摘んだのであろう。
コスモスの少し青臭い茎の香りは背伸びした若さを髣髴とさせ、ピンクの花びらは彼の心の温かさの象徴だと思う。
しかし・・・これらの考えの中に恋愛感情というものは一切浮ばなかった。
何故なら私の心を満たす温かさは
『わが子から初めてプレゼントをもらった』
そんな気分に近いのではないかと思う。
「ごめんね・・・」
コスモスに向かって私は小さく呟いた。
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