51人が本棚に入れています
本棚に追加
「士郎さん」
「……」
「士郎さん」
「……」
返事が無い。
「士郎さん」
「……」
「士郎さん」
「……」
「……今日の私の下着の色は」
「何色だい、彩女ちゃん」
「聞こえてるじゃないですかっ!!」
私は、割り当てられた灰色のデスクを思い切り叩いて言った。
「何ですかこの領収書!」
と言って、問題の紙を隣に座る彼に見せる。
「十六万八千円!こんなの、経費として認めませんよ!!」
「お偉方の接待だって~」
まぁまぁ、という感じで、士郎さんが両手のひらを私に見せてきた。
はぁ、と私はため息をつく。
「この宛名は何ですか?」
「宛名?ああ、ちょっと事情があって俺の名前に」
「”改準寺士郎ちゃん。はぁと”の”ちゃん。はぁと”は何です?」
「愛しのメグちゃんの気まぐれだね」
「先生」
この、私達の机二つから少し離れた所。
ボスっぽい、高価そうな木の机と椅子に座って、優雅にコーヒーを楽しんでいる”先生”こと崎伝道に、私は問い掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!