プロローグ

4/8
前へ
/133ページ
次へ
「もしもし、聴こえますか、彩女(あやめ)さん」 ーーーー幼い頃、私はお姫様に憧れていた。 きらきらして、綺麗で、そうして、イケメンすぎる王子様が白馬に乗って迎えに来る。 「私は(はな)。訳あって今、貴女だけに話しています」 そんなお姫様に、私はその他大勢の女子みたく、ただ純粋に憧れていた時期があったのだ。 「どうして私なのか、という疑問については、早めにお答えしておきますね」 しかし。 世の中には、理想と現実とがある。 「貴女が普通じゃないからです」 白馬の王子様。 きらびやかな衣装と美しい顔。 いやしかし、その彼女の顔はお姫様、と呼べるくらいには美しかったが。 「不可能探偵」 お姫様は言う。 「近々、大変な事が起こります」 そのお姫様には、望まない王子様がついていた。 どうしてそうなったのか。それは、言うなれば書き手の都合。 お姫様より上の存在が、意図を持って引き合わせた婚約者。 「嫁ぎ先が滅んでしまうのです」 その、私が出会った"現実的なお姫様"は言う。 「私の婚約者の、身勝手で」 「……どういう事?」 私はそこで、初めて口を挟んだ。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加