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「もしもし、聴こえますか、彩女さん」
ーーーー幼い頃、私はお姫様に憧れていた。
きらきらして、綺麗で、そうして、イケメンすぎる王子様が白馬に乗って迎えに来る。
「私は華。訳あって今、貴女だけに話しています」
そんなお姫様に、私はその他大勢の女子みたく、ただ純粋に憧れていた時期があったのだ。
「どうして私なのか、という疑問については、早めにお答えしておきますね」
しかし。
世の中には、理想と現実とがある。
「貴女が普通じゃないからです」
白馬の王子様。
きらびやかな衣装と美しい顔。
いやしかし、その彼女の顔はお姫様、と呼べるくらいには美しかったが。
「不可能探偵」
お姫様は言う。
「近々、大変な事が起こります」
そのお姫様には、望まない王子様がついていた。
どうしてそうなったのか。それは、言うなれば書き手の都合。
お姫様より上の存在が、意図を持って引き合わせた婚約者。
「嫁ぎ先が滅んでしまうのです」
その、私が出会った"現実的なお姫様"は言う。
「私の婚約者の、身勝手で」
「……どういう事?」
私はそこで、初めて口を挟んだ。
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