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「よく分からないけど」
私は言う。
「その旧姓七浜の貴女の見立てでは、そういう事が起こるっていうの?貴女の婚約者が何するかは言ってないけど、それでその鍔番家が滅ぶ事になると」
「はい」
彼女----鍔番華は言う。
「その時、貴女に、出来る限り私を助けて欲しいのです」
「……私は一般人よ?」
「存じております」
本当なのか。
「でも、貴女は一つだけ違う」
彼女は、向かい側の席に座っている。
「不可能探偵、崎伝道さんと関係がお有りです」
「……そうだけど」
「私達に理解がある」
それは、ちょっと同意しかねるが。
「もし何も無ければ、それで良いのです」
そう言って。
その子は、揺れる電車の中で立ち上がった。
「もし、そういう事になって。貴女がもし、私を助けようという気になれば」
彼女が私の右手を取る。
取ってそこに、白い紙の折り鶴を乗せてきた。
「その時私を助けてください」
「……いや、助けないわよ?」
私は、右手をそのままに言った。
「そんな得体の知れない話、関わりたくないし」
「不可能探偵さん繋がりにしては、だいぶ常識人ですね?」
彼女はそう言って、上品な笑みを浮かべてきた。
いやだって、一般人だし。
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