プロローグ

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「でもきっと来てくれる」 彼女は一歩下がって、再び席に座った。 私は右手を下げる。白く、きちっと折られた折り鶴がその手の中にあった。 「……貴女、お優しいでしょう?」 「優しくなんかないわよ」 「嘘」 彼女の見た目は、私と同じか、それより下ぐらいの若さに思えた。 「すごく優しい。人の為に使う涙が、その目に隠れておいでですもの。何方かと言えば、貴女の方が私の王子様」 私達を乗せた電車が揺れている。 揺れているが不思議と、強い横揺れは無かった。 「覚えておいて頂けると、助かります」 彼女は言う。 「もし、力を貸していただけるのであれば」 その白い手を出して。 先程の折り鶴を、指差した。 「その時はどうか、よろしくお願いします」 折り鶴。 私の手を先程取った、白い手。 微笑むお姫様。夢か現か。
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