第1話 見ていたこと

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遠い世界に行けたら幸せなのかもしれないと思う時期があった。 今いる場所じゃなくて、自分を求めてくれる場所を探していた。 もっと必要とされたいという願望があって、ここよりはマシな場所があるのだと信じていた。 今が嫌・・・。ただ、それだけなのかもしれない。 耐えがたい現実を見せられているだけで吐き気がする。 良い場所があるはずだ・・・。もっとふさわしい場所があるはずだ・・・。 そう思って、家を飛び出して歩いていくのだと思っている。 間違いではないかもしれないが、答えでもないのだ。 問いに対して、答えがあれば何かが分かると信じている。 だけど、今のこの場所というのは、何か残すものさえもないのだ。 真実という言葉をかけられて埋もれてしまった自分に飽き飽きしているところだ。 誰かが迎えに来てくれることを信じて待っている。 だけど、誰一人来ないのだ。
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