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場面2
坂井「絶対にそうに決まっています!私は浮気なんてしてないんですから!」
香月「まあまあ、落ち着いてくださいって」
坂井「落ち着いてなんていられませんよ!それが原因で離婚されちゃったんですよこっちは!二五歳でシングルマザーなんて・・・。私には無理です!」
香月「・・・・・・でも、子どもの取り違えなんてそんなこと・・・」
坂井「ありますよ絶対。医療ミスがあるんだから取り違えがあってもおかしくない。絶対に慰謝料取ってやるんだから。」
香月「・・・・つまり依頼は、あなたが出産した南総合病院が子どもを取り違えた事実があったかどうかを調査することでよろしいですか?」
坂井「ああ、はい、お願いします。」
香月「分かりました。では、手続きを。」
坂井は記入を始める。香月は徐にルービックキューブをやり始める。坂井は気づかない。
坂井「香月さんは気持ちわかります?」
香月「え?(聴いていない)」
坂井「他人の子かもしれない子どもを育てる親の気持ちですよ」
香月「・・・(聴いていない)」
坂井「分かるわけないか。当然ですよ。普通ありえないですもん」
香月「・・・(聴いていない)」
坂井「あたし、なんであんな男と結婚したのかな」
香月「・・・」
坂井「自分勝手であたしの話なんて全く聴いてなくて、子どものことだって構いもしなかったくせに・・って、何やってんですか。話、全然聴いてなかったんですね」
香月「あ、いや・・」
坂井「やめてくださいそれ。なんで旦那と同じことするんですか」
香月「ごめんごめん、ちゃんと聴きますから」
坂井「そうじゃなくて。ルービックキューブ(取り上げる)」
香月「・・・・ところで」
坂井「はい?」
香月「・・・ほんとに無いんですよね?」
坂井「何がです?」
香月「・・・他人の子が出来るようなこと」
坂井「・・・・・」
しばしの沈黙
香月「あなたを疑ったから、DNA鑑定なんて面倒な事までしたわけでしょ?」
坂井「・・・な、無いですよ!」
香月「・・それならいいんですけど、一応確認です」
坂井「ニコリともせずよく失礼なことばかり言えますね」
香月「仕事なんで」
坂井「・・・・鉄仮面・・(ぼそり)」
香月「なんか言った?」
坂井「いいえ何にも!書けました!じゃあ、お願いします」
坂井、部屋を出ていく。
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