場面6

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場面6

ヤマカワ「ああ。五年たって依頼は増える一方だ。」 タカハシ「そうですか、順調に良い遺伝子を残せていると猫山議員もお喜びです。」 ヤマカワ「別に政治家を喜ばせるためにやってるわけじゃない。自分のためだ。金にならなきゃこんなことやってない」 ドアが開く物音がする。 会話を辞め、タカハシは出ていく。香月とドアですれ違う。香月、振り返る。 香月  「失礼します。お部屋の清掃をさせてください。」 ヤマカワ「新人?ラボの中まで掃除してくれるなんて珍しいな。」 香月  「病院の方針転換みたいです。」 ヤマカワ「・・・ふうん。この病院、ほんとどうでもいいところしか力入れないよな・・・。」 香月  「博士は産婦人科医なんですよね?ここでどんな研究をなさっているんですか?」 ヤマカワ「え?」 香月  「すみません。まだ来たばっかりだし、私バカだからそういうこと全然知らなくて」 ヤマカワ「出生前知能診断、聞いたことない?」 香月  「!!・・・あ、知っています」 香月の様子が明らかにおかしくなる。 ヤマカワ「それを開発して実用化したのは、私だ」 香月  「・・・・!!・・・へえ。そんな凄い博士がこの病院にいるなんて」 ヤマカワ「もっと前からあれば、あんたみたいなバカも生まれなかったかもしれないな」 香月  「・・・・・・」 ヤマカワ「冗談だよ(笑う)」 香月  「凄いファイルの数ですね」 ヤマカワ「ああ。それ。今まで診断を受けた人のデータだから、触らないでくれる」 香月  「あ、はい。すみません。」 ヤマカワは香月の胸についている名札を見る。 ヤマカワ「・・・香月よし乃・・・」 香月  「え・・?」 ヤマカワ「・・ああ、いや。きれいな名前だと思って」 香月  「・・・・ありがとうございます。じゃあ、失礼します」 香月、出ていく。(ヤマカワは椅子に座ったまま) 香月は部屋の外に出て、しゃがみ込む。 そこへなぜか畑本がやってくる。 畑本「何してんのここで」 香月「・・・逆に何してんの」 畑本「・・・取材だけど?」 香月「・・・」 畑本「何・・・こんなとこでバイトしなきゃなんないくらい金に困ってるの?そんなわけないよね」 香月「・・・」 畑本「やっぱりこの病院には何かあるんだ。話、聞かせてよ」 香月「・・・」 香月、立ち上がって去る。 畑本、その後を追いかける。 暗転
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