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「だ、大丈夫ですか?!」
慌ててたった今駆け上がってきた階段を下り、倒れている女性に声をかける。
力なく足下に倒れたまま動かない女性。
それは間違いなく僕がずっと見てきた彼女の姿だった。
意識がないようで身じろぎもしない。
僕は急いで119番通報をすると、アウターを一枚脱ぎ彼女の血が出ている額の部分に当てて押さえる。
なんとか出血だけでも止めたくて、無意識に動いてしまった。
「しっかり!しっかりしてくださいね!大丈夫ですからね!」
届かないかもしれないとは分かっていても、大きな声で彼女に声をかける。
元々人通りが少ない場所ではあるが、周りには誰もおらず誰かに助けを求めることも出来ない。
僕がしっかりしないと...その想いだけで必死だった。
多分僕の顔もひどく青ざめていただろう。
変な汗が吹き出る中声をかけ続けていると、膝元にヒラヒラと何かが落ちてきた。
それは所々血のついた白い封筒だった。
恐らく彼女のものだろう。
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