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「ありがとうございます!」
「大したもの何もないけど、アオがお世話になってるからね」
ふふふっと笑う仕草が、旦那さんの剛さんにそっくりだ。本当にお似合いの夫婦だと思う。
「で?何をそんなに興奮して話してたの?」
蒼衣さんが蓋を開けた緑茶のペットボトルを自然に受け取りながら、智さんが僕を見つめた。
「いや、ちょっと気になってる人がいて...その人がいつも歩道橋の上から車を眺めてるってだけなんですけど」
「飛び降りたいのかしら...」
「...」
つい先程聞いたばかりの物騒な話に僕は苦笑いした。
「オマエもそう思うやろ?!なんかあったら寝覚め悪いよなぁ」
「そこじゃないでしょ。心配だねって話でしょ」
2人の根本的な思考は違ったらしく、僕は少し安心する。
「表情が見えないから、なんであの場所にずっといるのかもわからないんですけどね」
彼女が佇む光景を思い浮かべる。
何を思っているのか、僕には見当もつかない。
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