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「・・・・・・」
「ひとつ、この契約者の生命中断の可能性の排除。契約者は、いかなる偶然因子によっても、付与された永遠の命を中断されることはない。
これは人為的なものから天変地異まで、あらゆる事象に及ぶ。すなわち、契約者はいかなる犯罪、事故、戦争、天災等からダメージを受けることはない。それらによる契約の破たんは、これを認めない」
「・・・・・・」
「ひとつ、契約者の意志の絶対尊重。これにより、契約成立後には、たとえ永遠の命を付与する側であっても、契約者の意志に反する干渉は不可能となる。また、逆に契約者の明確な意志表示があれば、契約者の自殺の自由はこれを、いついかなる時でも認める。実質的な魂の回収は、この時点に設定される。・・・この点は問題ないな?」
俺はうなずいた。そうだ。永遠の命が続くかぎり、こいつは魂をとりあげることはできない。たったひとつの、その機会は俯瞰して見るかぎり、俺が自殺を選択した時のみとなるーーはずだ。
こいつらにとっては、ずいぶん分のわるい契約だ。
なのに、こいつは不平不満を少しも言わない。さっきからのいらつきの根源は、おそらくはそれだ。顔はよく見えないが、こいつは終始、すずしい顔で対応を・・・なぜだ? 警戒しなくて大丈夫なのか? 本当に、このままでいいのか?
「ひとつ、この永遠の命に関しては、不可逆と設定する。すなわち、時間をさかのぼる、循環する等の方法は永遠の命現象と認めない。あくまでも時間は未来に向かって進行する。・・・このような表現で間違いないか?」
「そうだな。表現的には問題ない・・・と思うが」
「思うが?」
「疑問はある。単純な疑問だ。最初にたずねた方がよかったがーーこの取引は時間がかかる。たぶん、相当に」
「そうだな。あるいは、想像を絶するほどに、な」
さらなる嘲弄の感触。
「それが分かっていて、あんたは、まあ言ってみれば唯々諾々と取引に応じるわけだよな。なぜだ?」
「お前にとっては、結構なことだろう。こちらが、終始、激怒し、不平不満をこぼしていれば安堵したのか? こちらに言わせれば、姿形もそのままに、何百年、何千年、それ以上人間世界で暮らしていこうとするお前の計画の方がよっぽど疑問だがな」
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