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だが、俺は身体・精神の健康・健全を保証させることで、その可能性を自ら、わざわざ潰してしまった。
最終手段の自殺は、明確な意志表明をしなければならない。
しかし、今の俺は、言葉を発するために口を開けるだけでも、やはり何千年要するか、全く未知なのだ!
こっ、これほどの恐怖! これほどの絶望! これほどの地獄が他にあるものだろうか!
目の前に、あいかわらずいるはずの『それ』は、たぶん、俺の意識に同調しながら。存分に、このショーを味わっていることだろう。
黒い嗤いを感じる。
ブリザードのような、嗤いが意識に入ってくる。
『それ』との取引。これは、あいつらが、いつからかは分からないが。周到に考え抜き、意図的に情報を(しかも断片的に)ばらまき。時には、わざと出し抜かれた状況すら演出して今日までいたる・・・・・・
罠だ。罠だったのだ!
完全無欠に、そうして一方的に設定されたーー『デスゲーム』の!
『デスゲーム』? だが、死にいたらしめることが目的じゃあない。
対価である生命だの、生け贄だの、まして魂など、どうでもいいに違いない。
そこにいたる手段こそ、経緯こそが、目的!
俺のような増長した、不遜な人間。できないことなどない、と思いあがっている人間。そんな契約者であればあるほど、こいつらにとっては理想的。
そんな連中が、あてがはずれて悶え苦しむのは、人間が低俗な喜劇を観る感覚なのだろう。
他者のおろかしさをとことんまで味わい、安全圏から賞味し尽す。
『暇潰し』が目的そのものならば、その辺の人間を無作為に選んで、いたぶりつくしても同じことーーふつうはそう考える。人間の思考レベルならば。
ちがう。ちがうのだ。ぜんぜんちがう。
それでは、面白くないに違いない。
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