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「それで、欲しいものが永遠の命というわけか。凡庸だな。もっと世俗的で、目先にこだわった快楽や地位や権力の方がいいんじゃあないか? ん?」
・・・小物扱いしやがる。まあ、それもいいだろう。
永遠の命ってのは、最もハードルが高くーーおまけに『落とし穴』だらけの望みだ。
そいつは俺もよおく理解している。
だから、それはもう考えたものさ。どうやったら、このハードルを超えられるものか。
寝ても、さめても、な。
「あいにく、そういったものは何とでもなるんだ。人間さまでもな。特に、この俺はな。何とでもならないものを望むのが、筋ってもんだ。ちがうか?」
「ふうん・・・」
「だけどな。いきなり、『よし、分かった』で実行・発動はなしだぜ? 何しろ、こっちはたった一つの命だか魂だかを賭けるんだ。付帯条件ってやつを。こちらで決めさせてもらう。取引成立はそれからだ。いいな?」
初めて、『それ』は、興味をひかれたらしい。眼の輝きが少し増したから。それとも、俺の言いぐさにイラっときたかな? まあ、どっちでもいい。取引の最中は殺されないはずだ。
俺の構築したプログラムには、大昔でいう魔法陣の役割もあるはずなのだから。
「付帯条件か。・・・どんな?」
さあ。きたぞ。これからが本番だ。気を抜くな
気を抜くなよ。
「まずはーー自由意志の絶対尊重だ。この俺のな」
『それ』が首をひねったように見えたのは、気のせいだろうか? まあ、いい。今は、な。
「あんたたちは、契約者の意志ーー言葉を意図的に曲解したり、誤認したりするのが得意技。・・・なんだろう? そんなことをされちゃあ、たまったもんじゃないからな。
つまりこれは、これから俺が言う条件の安全保障というわけだ。最も重要な、前提条件さ」
「ああ、そうか。つまりお前は、おそれているわけだな? 三つの願いパターンというやつを」
「ご明察」
パターンか。『それ』の口 から、こんな単語が出るとは驚きだ。だが、その通りではある。
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