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三つの願いパターン。
誰でも、一度は見聞きしたはずだ。童話、寓話、このテの話は山とある。相手は魔王でも封印されていた妖怪でも・・・まあ、何だっていい。何でもいいから、願いを三つだけかなえられるという機会が与えられるわけだ。
ところが、これがどうして至難なのだ。
ほとんど全てが、このようなパターンに終始することになる。
①分不相応な願いを望む。
②願いはかなえられるが、それに伴い、とてつもない、破滅的な不幸・難題・報いが襲いかかる。
③不幸等から逃れるため。①の願いの無効を望まざるをえない。
→ゲームオーバー。
・・・ほとんどの場合は、得るところはなくなってしまう。それどころか、①以前よりもはるかにマイナスの結果となってしまう!
これが、三つの願いパターンだ。
「永遠の命を手にしたところで、肉体が石化。あるいは完全無欠のミイラ状態のまま、意識だけが残ったりしたらーー大笑いだな。ははあ。そういったことを、警戒してのことか?」
ゾツとすることを、なかなか饒舌に言ってのける『それ』。
ああ、その通りだよ。クソ。
「分かってくれてるじゃあないか。だったら、話ははやい。いいな、この第一の付帯条件?」
「ああ、ぞうさもない」
気がぬけるくらい、あっさりと『それ』は了承をする。いやいや、気をぬくなよ。
まだ、第一関門に手をかけたばかりなのだから。
クソ。十分に心構えをしていたはずなのに、脇やらこめかみやらに、じっとり汗がにじんできやがる。
『それ』が出現してからこっち、部屋のなかは夜明け前のように暗く、地下室みたいに寒い。なのに、汗はにじみ続ける・・・。
部屋の外は、快適な春の陽光が満ちているはずだーーこの一帯の時間や空間が操作されていなければーーだが。
そう。こいつらは、その気になれば何だってできる。何だって。
そこが、重要きわまりなく、そしてーー危険きわまりないのだ。
「・・・よし。第二の付帯条件だ」
俺は絶対に『三つの願い』でしくじった、負け犬連中の列には加わらない。絶対に、だ。
まあ、こいつにチャレンジしたやつは、大部分がそう思っていただろうが。
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