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引きよされる運命
高校2年の12月中旬ころ、秋田の叔父から一本の電話が来た。
「ハイ、藤崎でございます。あら、兄さんどうしたの・・・・・」
ペンションを経営している叔父は、磨緒も来年は大学の受験もあるし冬休みを利用して久しぶりに来てみないかということだった。
むろん始めは家族でとのことだったが、親父もお袋も年末は何かと忙しい仕事をしている。
仕事も三が日までびっしりだ。だからそのあとは家でゆっくりしていたいらしい。
そして4歳上の姉は、大学のサークルで企画した旅行へ行く予定になっていた。
こうなれば俺一人でもよかった。
だが、期末試験開始の一週間前に悪友の須郷多唯人(すごうだゆいと)にうっかり話してしまった。
「なんだよそれ、いいじゃん。俺、秋田にはいったことないから一緒に行こうぜ」
唯人はさっそく乗ってきた。
その話を何気なく聞いていた同じクラスの宮下優子(みやしたゆうこ)は
「ねぇ、それ、私も一緒に行ってもいいかしら」と話に加わった。
「え、でも男二人に女一人じゃ何かといわれるんじゃないか」
まあ、特別そんなことは多分彼女とはない予定だから大丈夫だと思うが、周りの目がうるさそうに感じた。
「あら、そういうことなら大丈夫よ」
彼女はそう言ってすたすたと隣のクラスに向かい
「この子も一緒に行けば2対2だし、女一人よりはずっといいんじゃない」
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