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「あ、うぅん。そ、それじゃみんなもう乗りましょう。そろそろ発車の時間だし」
「うんしょっと」優子はぎこちなく列車に乗車した。
そんな優子を見て唯人は
「まったく先が思いやられるぜ。なぁ磨緒」
「ハハハ、だね」
俺は笑うしかなかった。
定刻の時間に新幹線「こまち」は、その赤と白の車体を流れるように、「はやぶさ」を連結しながら東京駅のホームを後にした。
途中、盛岡駅で「はやぶさ」と別れ「こまち」は高架軌道から外れ山々が連なる山脈へ続く軌道を走り出した。
「うわ、雪」
一面に積もった雪を見て優子は、爆睡している俺たちをおこした。
「う、う、なんだよう」
「わぁぁ」
一面に広がる雪景色、この景色を見るのは本当に久しぶりだった。
「もう少しで着くから準備しておこう」
新幹線は駅に着き、俺らは列車を降りた。
そして、俺は6年ぶりにこの秋田の地を踏んだ。
「はっくしょん。おぉさびぃぃ」
唯人は震えながらくしゃみをする。
叔父さんが駅まで迎えに来てくれることになっている。俺は駅の駐車場にある車を見回した。
「おぅい、磨緒」その声の方を見ると叔父さんが手をふっているのが目に入った。
「よく来たな、疲れなかったか」
久しぶりに会う叔父さんは少し老けたかなと思った。でも昔の面影と何も変わっていなかった。相変わらずダンディなバーのマスターといった感じが・・・
「はい、大丈夫です。これからお世話になります」
「しばらく見ないうちに立派になったな磨緒。後ろにいるのが友達かい」
3人は声をそろえて
「よろしくお願いしまーーす」
「さすが若いだけあって元気がいいな。寒いから車に乗って出発しよう」
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