第2章 私を朝まで抱いていて

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「ああ・・・すっごい・・・あの時と同じシチュエーション・・・」 晴馬が私の頭に手を添えて髪を撫でた。編み込んだ三つ編みの片方を引っ張られて引き寄せられ、そのままキスしそうになるのを寸前で止める。 どうした?っていう目をして、見上げてきた。 私は精いっぱいに微笑んだ。 「あの頃は、キスしたくてもできなかった」 切ない気持ちが溢れ出す。一線を越えたらもう一緒にいられなくなる危機感はあったんだ。 8歳でも乙女だし、大人っぽい考え方もできていたし・・・。 兄と妹のような関係の中でしか求め合えない安心感を大事にしていたんだと思う。 「・・・そうだ。・・・俺も、気を抜けなくて・・・」 「・・・はるま」 「・・・なんでかな。手が出せない小さなお前のこと、どこかでちゃんと女だと思ってたよ・・・」
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