第2章 私を朝まで抱いていて

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私は少し湖畔の方に歩いていって、晴馬の方に振り向いた。 晴馬が立ち上がって私のところに来ようとしたのを、手の合図で制止するとそこで止まってくれた。 「そこにいて」 「・・・うん」 手紙の封筒をあけて中の便せんを取り出す。 そっと開いていくと、前に作った四葉のクローバーのしおりが出てきた。 懐かしい文字を指先でなぞり、私はその手紙を読み上げ始めた。 *  お兄ちゃんへ * とつぜんいなくなったから、すごくさびしいです 晴馬は驚いたように身を乗り出した。 * 元気ですか?ごはんちゃんと食べていますか?夜は眠れていますか? * 私はまぁまぁ元気です。ごはんも食べて、夜も眠れています。 * でも、お兄ちゃんがいてくれたころよりは元気がでません。 * 一年に一度でもいいから会いたいです。 * もしも、この先もずっと会えなくても、私はお兄ちゃんのことを好きでい続けると思います。 * またさびしくなったら、私の事を想い出すことがあったら、いつでも帰ってきてください。 * ずっと待ってます。 * かりん  
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