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「あっツゥ‥‥何処だ?此処は」
体を起こそうとすると、全身を襲う痛みに顔を歪めつつ、見渡す風景に唖然としてしまう。
何処までも続くと思える程に見渡す限りの草原だった。
遂さっき迄俺は都会のど真ん中に居た筈なのに、何故自然のど真ん中に居るんだ?
と、そこまで考えた時に思い出す。
「そう言えば俺‥‥死んだんじゃ無いのか?何故生きてるんだ?」
訳が分からない。
都会のど真ん中とは言ったが、オフィス街とか繁華街みたいな所から少し離れた工業地帯に居た。
まあ、土木作業員として工場の中の工事現場に居たんだけどな。
そんな現場から100メートル位の所にデッカイガスタンクが有ったんだ。
見上げる程だからね。
そんなガスタンクの下の方で火花が見えた瞬間だった。
ボッと炎が上がったと思ったら、何かに吸い込まれる様にシュンッと消えてしまった。
えっ?と思考が止まってしまった俺の耳に、回りの作業員達が“逃げろ!”と叫ぶ声が聞こえて来た。
意味も分からずに居た時に、ガスタンクが爆発し、その衝撃波みたいなモノに吹き飛ばされ、俺は地面を転がった。
身体中が痛む中起き上がり顔を上げた先に見えた物は、俺に迫って来る灼熱の爆煙だった。
「ああ、俺‥‥‥死んだな」
そんなくだらない台詞を、死ぬ直前に吐いた後爆煙に呑み込まれ意識が途切れた。
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