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君の口癖
『私が死んだら、あなたのせいだから!』
仕事から帰ってきたら、いつもそれを口癖のように言っていた妻がダイニングに倒れていた。
持っていた鞄を投げ捨てて、すぐに抱き上げてみたが、彼女は既に冷たくなっていた。
震える手で、胸ポケットからケータイを取り出して、うまれてはじめての発信番号を押した。
「はい!119番、消防署です。火事ですか?救急ですか?」
どこか、作業的なその言葉に少しだけ冷静さを取り戻したように思えたが、私の声は情けないくらいに震えていた。
「あの...きゅ...救急です。...帰ってきたら...妻が倒れていました。」
目の前の事実だけを簡潔に述べると、電話の相手は手際よく私に質問をしていった。
「住所は?」
「お名前は?」
「どんな状況ですか?」
「発信者はご主人様でお間違えありませんね?」
多分そんなことを聞かれたんだと思う。
救急車は思っていたよりも早く着いた。
電話を切ってそんなに待ってなかったように思う。
到着した3人の隊員のうち、一番若いヤツが
「これって...もう...。」
そう言って上司に叱られている。
妻はもうダメなんだろ?
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