1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
第一章
突然降り出したどしゃ降りの雨。
その雨に混じって、どす黒い雨雲から何かが落ちてくる。
鳥だ。
無数の鳥たちが巨大な雹となって、下校途中の生徒たちに降りかかった。
一斉に逃げ惑う中、夏越の手を取り、ひとりの少女が走り出した。
「こっちよ!」
鞄で頭を庇いながら、カーテンのような雨の滝を何重も潜って行く。
その度に、大気が揺らいで肌に触れる何かが変わった。
どこをどうしてたどり着いたのだろう。
夏越が少女に連れられたのは、見知らぬバス停の小さな待合小屋だった。
最初のコメントを投稿しよう!