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【春の息吹き】~伝記第19章~
透明な雫が 水面に落ちる
光を放ち 王冠が出来る
淡い薄紅 桜の蕾
初めて見た 母の涙
いつもよりも着飾った体育館で
呼ばれる私の名前
ハイッ!とお腹から声を出し
体育館の壇上に上がる
身が引き締まる緊張感
読み上げる答辞
込み上げる感情に頬が濡れる…
やっと 人間になれた気がした
やっとひとりで立ち上がったような
そんなキモチを感じた。
いつも 自分に自信が持てなかった
生きている意味が見つからなかった
でも。
やっと 母が 認めてくれた
その瞬間に 初めて 私は
産声を あげた気がした
☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆
母も 同じように 働きながら学校に
通っていたと 初めて聞いた
そして 2年で挫折したと
それを 卒業し 代表として
答辞を読む私を見て
誇りに思うと言って貰えた
ツラいこと 苦しいこと
たくさんあったけど
母の言葉と涙で 全てが報われた気がした
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