4章 スローなラブで

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「サラダよりこっちの方が温まるね」 「うん…」 肉を仕入れて帰ってきた俺の目の前に、初めての晶さんの手料理が並ぶ── つってもしゃぶしゃぶだからお湯沸かすだけなんだけど…… でもサラダでも温しゃぶでもどっちでもいけるように機転を利かす彼女に惚れ直した。 山盛りだった繊切りのキャベツはお湯でしゃぶれば瞬く間に量(かさ)を減らしていく。 女らしい一面と相変わらずソファに胡座で肉をしゃぶって大口で喰らう野生的さ── ギャップあり過ぎ── でもどっちの晶さんも大事にしたいって想わせる── 今日はゆっくりと話をしたい… 俺の仕事とか これから二人の先のこととか… まだ知り合って二週間… 深い関係になって一週間… まだお互いに知らないことが多すぎる── “迫られて抵抗しなかったのはあたしのミスだからっ!” 「──…っ…ぐっ、ぶほっ!…っ」 「どしたいきなり!?」 「なんでもないっ…」 噎せた俺から自分のタレの器を庇うように晶さんは持ち上げた。
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