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そんな滅多に人も立ち寄らない様な場所でふいに声を掛けられた。
「ルミちゃん、見つけた」
「麻耶くん…」
親友と瓜二つの容姿を持った男の子が本棚の向こうからこちらを見ていた。
真侑の双子の弟の麻耶くん。
かっちり着こなした学ランにサラサラの短髪は、真っ黒な色に肌の白が際立っててとても幻想的。
女の子にも引けを取らない中性的な男の子。
初めて真侑に紹介された時から感じてた。
この男の子はルミの運命の相手、ルミの王子様。
だって真侑と麻耶くんが並んでいる姿はまるで、その2人の空間だけ現実ではない架空の世界の様だった。
それだけこの双子は同じ存在でいて異様、そして美しかった。
あの衝撃は今でも脳裡に焼きついていて色褪せる事はない。
「真侑にここじゃないかって聞いて」
あんまりにも奥にいるものだから探したよと微笑む麻耶くんは、仄暗い図書室でもしっかり映えて見える。
本当、王子様は女の子を魅了する力に長けているから厄介だな。
「何か用?」
「ルミちゃんに借りてた本返そうと思って。ありがとね」
よく見ると麻耶くんの手には小さなショップ袋がぶら下がっていた。
ルミのお気に入りのショップのロゴとファンシーな模様がプリントされている袋は、丁度本を入れるのに適していて真侑に貸す時もよく愛用している。
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