真侑×ルミ

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とは言え、本を貸す相手なんて真侑と最近話す様になった麻耶くん位なのだけど。 周りと波長を極力合わせたくないルミは絡みにくい浮いた存在として、この狭い学校という世界にはカテゴリーされている。 正直窮屈だけど、この居心地の良い図書室と浮世の人物の様な双子が傍にいてくれるから、今はそれなりに満足している。 「どうだった?このお話、ルミはハッピーエンドだと思うの」 返された本をめくっていると、狂ったお姫様が短剣を握り締めている挿絵が目に付いた。 おどろおどろしい背景に乱雑なタッチで、焦燥感溢れる表現は今にも刃先が王子様の心臓を突き刺さんとしている。 「んー。僕にはバットエンドに感じたけど」 「この物語を真侑にも話したの、同じ事言われたよ」 やっぱり双子は考え方も似ているのだろうか? それともやっぱりルミが変なのかな? だってこの物語に出てくるお姫様と王子様は最後には両思いになって、心が通じ合ったもの。 それって最高にハッピーエンドじゃない? 私はハッピーエンドが好き。 バットな事なんて現実世界で十分溢れているのだから。 「麻耶くんにはルミと同じ物、感じて欲しかったな…」 そんな傲慢な本音をさらりと漏らしてしまうのも、ルミが変わり者だからではなく麻耶くんが王子様だからだ。     
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