真侑×ルミ

6/8
前へ
/8ページ
次へ
密かに描いていた自分の夢を嬉々として語るルミの横で、麻耶くんが一瞬驚いた様な困惑した表情をした気がした。 けれどそれは見間違いだったのだろう。 この場所にはルミ達以外誰もいないのにも関わらず、誰にも聞かれる事のない様に厳かに距離を詰められ相変わらず微笑む麻耶くんは耳元でこう呟いたのだ。 「………今から試してみる?白雪姫」 学校なんて図書室に来る為に来ている様なもの。 今日も隙間時間さえあれば、図書室の奥の奥の本棚の隅の出窓に連なる2人掛けの腰起きに身を委ねて本の世界に没頭する。 この場所は滅多に人が寄り付かないルミのお気に入りスポットなのに、またふいに声を掛けられた。 「ルミ、見つけた」 「真侑…」 王子様と瓜二つの容姿を持った女の子が本棚の向こうからこちらを見ていた。 麻耶くんの双子の姉の真侑。 すらりと着こなしたセーラー服にサラサラの長髪は、真っ黒な色に肌の白が際立っててとても幻想的。 女の子も見惚れる様な美しい女の子。 「ルミ次の放課が昼放課だって事また忘れてたでしょ?本当、物語の事しか関心無いんだから。ちゃんと食べなきゃダメ!」 お弁当も持って来たよと微笑む真侑は、図書室の木漏れ日にも劣らない位の輝きを放って見える。 お礼を言ってお弁当を受け取り、真侑も隣に腰掛ける。     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加