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真侑×ルミ
私は空想の中でしか生きられない。
物語の世界だけが私の全てで、他は不要な余計な物。
こんなルミを変わっていると周りは言うけれど、こんな現実を当たり前にして受け入れ過ごせる人の方が余程の変わり者に思う。
この世界は無常で混沌とした欲望と争いに満ちている。
そんな中でなぜ普通に生活できるのか、こんな場所で正気で居られる訳がない。
ルミは架空の世界にいなければ禁断症状が出る。
これは決して変わっているのではなく、いつだって純粋でいたいだけ。
なのにこの世界はそれを許してはくれない。
いつか知らないうちに周りに染まって、この異常な環境の一部に支配されていく自分が恐ろしいのだ。
そうならない為に私は本の世界に浸る事を欠かさない。
まるで神様にお祈りをする様に、心を込めて大切にページをめくる。
幸運にもルミの中学には、県内一の広さと本の数を誇る図書館がある。
それ位しか自慢がない程うちの図書館は立派だ。
その奥の奥の本棚の隅の出窓に連なる二人掛けの腰起きが、私の指定位置でお気に入りスポット。
分厚い古い資料ばかりが棚に収まっていて、この古い紙の匂いと静寂が私をより架空の世界へ誘ってくれる。
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