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あまりにも優しく暖かすぎて、不意に訪れる孤独に慣れきれない。何度、この川に溺れてしまいそうになっただろう。何度、あの川に飛び込みたくなっただろう。
それでも僕が今ここにいるのは、世界があまりにも優しいから。
「ねえ、おばあ。僕は、この世界が、好き。おばあに、会えたもん。ねえ、おばあ……」
きっと振り返れば、貴方は笑っているでしょう。たったそれだけだけれど、とても優しいと僕は思うのです。温かい笑みとともに、安らかな眠りを与えてくれたこの世界を。
ねえ、おばあ――。
終
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