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八雲はそれに反応すると、咳払いをする。
「雑談はここまでにしましょう。ギャンブル依存症ですが医学的に見ると、台が起こす光のフラッシュや効果音によって、脳内にある"ドーパミン"と言う物質が分泌されやすくなります」
石田は聞きなれない言葉に、相づちをうった。
「"ドーパミン"ですか?・・・」
「そうです。人が興奮した時や快楽を感じた時に脳内で分泌される物質ですが、その状態が限度を超えて長く続くと、"ドーパミン"が過剰分泌を起こしてしまいます!」
八雲は黙って聞き入ってる石田に、ペンを突き立てた。
「ギャンブルで言うと、大当たりが異常に続く事で"ドーパミン"が過剰分泌され、それが依存症を引き起こす原因と考えられます!!」
その言葉に石田は思い当たりがあるのか、考え込み始める。
「石田さん、正直に言って下さい。過去に最高でいくら勝ちましたか?」
その質問に石田はゆっくりと口を開いた。
「・・・18万です。先生の言う通り、その後日は毎日の様にパチンコ店へ通ってました」
八雲は姿勢を戻すと、パソコンのキーボードを打ち込み始めた。
「そこがパチンコ店の狙いなんです。依存性になるきっかけを作って、足を運ばせる」
石田はギャンブル依存のカラクリを知り、いたたまれない気持ちになった。
「他の依存症に関しても、同じ様に"ドーパミン"の働きが関わると推定されます。その物質を抑制するお薬があるので、処方しておきます。お近くの薬局で処方箋を出して、お薬を貰って下さい」
「すみません、ありがとうございます・・・」
そこへ後ろに立っていた冴が話し始めた。
「石田さん、私からですが、まずパチンコ店へ近づかない様意識して下さい。通り道でもダメです。遠回りでも、なるべく回避する様お願いします」
「それでも、行ってしまった時は?」
石田の質問に冴はメガネを直すと答えた。
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