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「ちょっと悪いんだけどさぁ、他行ってやってくんねえかな?今日どこもいっぱいなんだよね~」
グループのリーダーっぽい赤毛の男が、沙織達に近づいて来た。
「嫌です!ここは私達が先に見つけた場所です!!他を探して下さい!!」
普段学校では見られない、強気の響ちゃんの姿があった。
「はぁ、可愛いだけの女子2人が、そんな下手くそな演奏してて恥ずかしくないの?」
赤毛の男が二人を小馬鹿にした口調で答えると、他のメンバーも失笑する。
「響ちゃん、ゴメン。私が下手だから迷惑かけてしまった。とりあえず、ここは移動しよう?」
普段の沙織ならここは反論するところだが、ベースを始めてまだ数日と言うこともあり、さすがに気まずさを感じていた。
「沙織さん、大丈夫です!!むしろこの短期間で、ここまで弾けるのは凄いことです!!この人達の言う事を、聞く必要はありません!!」
「でも・・・」
「おいおい、お嬢ちゃん達。何ヒソヒソ話してるの?さっさと楽器をしまってどいてくれよ!!」
赤毛の男が話してる間に、他の男達は既に楽器をケースから取り出していた。
状況を見守りつつ、私と音々が助けに入るタイミングを見計らっていた矢先である。
「大の男が4人がかりで、女子高生2人をいじめるなんざ、ずいぶんみっともねぇな」
「ああ!!?」
4人の男達が目にしたのは、今まで響ちゃんの演奏を聴いていた若い男性だった。
長身で細身の男性は4人の前に出ると、指を鳴らし余裕の表情を浮かべた。
「誰だよ、お前!!ずいぶん偉そうだなぁ。俺達が"エクササイズ"って知ってるのか!?」
「知らねえ」
「即答かよ!」
「俺はこの娘達のライブを観に来てるんだ。邪魔するんだったら、とっとと失せろ!!」
突然の見知らぬ男性の登場に、響ちゃんと沙織は驚きと胸の高鳴りを感じていた。
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