52人が本棚に入れています
本棚に追加
源氏は演奏を止めると、ロン毛の男にギターを返した。
「悪いな、下手くそな演奏で。せっかくの良いギターが台無しだ。おたくの上手い演奏で聴かせてくれ、このストラトを」
「いぇ、とんでもないです~。今日はちょっと用事を思い出したんで」
男は急に態度を変えると、敬語で源氏に話しかけた。
「あの・・・、もしかして、音無源氏さんですか?」
「だとしたら、どうする?チップでもくれるのか!?」
それを聞いた瞬間、エクササイズのメンバーは慌てて楽器をしまい込むと、苦笑いを浮かべた。
「失礼しましたー!!」
そして走って立ち去る。
「何だ?アイツら・・・」
源氏は走り去っていく"エクササイズ"4人組を、シラけた眼差しで眺めた。
それは私達も同じだった。
「あのっ、すみません!!」
「んっ!?」
藍染響は音無源氏の側へ寄ると、声をかけた。
「あの、チャラ男達を追い払って下さいまして、ありがとうございました!!」
そして彼女は、源氏に頭を下げる。
「あぁ、良いってことよ。中途半端に偉そうな態度をとられると、腹が立つんだ。嫌いなんだよ、ああいう調子の良い連中は」
「それは私もです!自己中て言うか、人の迷惑を考えない人達は最低です!!」
源氏の言葉に響は共感すると、眉間にしわを寄せた。
「それにしてもあんたは、良い声してるな。最近よく聴かせてもらってたぜ」
「あ、ありがとうございます!!私、藍染響って言います!!良かったら・・あの、お名前教えて貰えませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!