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響の質問に、源氏はちょいワルな笑顔を見せた。
「源氏だ。音無源氏、よろしくな」
その名前を聞いて響は驚く!!
二人が会話をしている間、沙織は私達のもとへやって来た。
「沙織、大丈夫?」
私が心配して声をかけると、彼女は疲れた表情を見せた。
「天海・・・、へこんだよ。人前で弾くの自粛するわ」
沙織はテンションを下げると、うなだれた。
「大丈夫だよ、沙織!ちゃんと、ベース弾けてた」
加奈ちゃんが慌てて、沙織を元気づける。
「ただ弾くのと演奏するのじゃ、全然違うよ加奈~」
私にはよく分からない世界だが、上手くなればなるほど、個性やセンスがその人の演奏に出てくるのだと言う。
実際目の前で弾いて見せた、彼の演奏は凄かった。
ギターの音色が、生きてる様に聴こえた!生物の鳴き声の様な音色・・・。
「プロからもスカウトが来てて、有名なインディーズバンドの助っ人も参加しているあの源氏さんですか!!?」
源氏は頭をかきながら苦笑いをする。
「まあ、周りはそんな風に言っているが、俺は好きで弾いているだけだ。バンドメンバーに収まる気もないし、自分で組んだりもしない。束縛されるのが、嫌なんだ」
響はまさかの有名なギタリストを目の前に、興奮して瞳の周りにキラキラ星を飛ばしていた。
「今は何処かのバンドの助っ人に、入ったりしてるんですか?」
その話を聞くと源氏の表情は曇った。それから、自分の両手を見つめる。
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