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数日後、藤島クリニックに一本の電話が入った。
「はい、藤島メンタルクリニック受け付け森山です」
愛が電話に出たのは、ワンコール後だった。
「県警の鬼塚です。藤島先生とお話ししたいんですが」
「警察の方ですか!?・・・少々お待ち下さい」
愛は不安を覚えるも電話の子機を持つと、八雲のいる診察室へと向かった。
その頃八雲は、パソコンに入っている患者のカルテを整理していた。
「藤島先生、警察の鬼塚さんて方から電話です」
愛は電話の子機を片手に、扉を開けて八雲を覗き込んだ。
「わかった!貸してくれ」
八雲はキーボードを叩きながら、愛から子機を受け取ると電話に出た。
「はい、藤島です!」
「藤島先生、お久しぶりです!鬼塚です。個人開業されてしばらく振りですね」
鬼塚の親しみある声に八雲は微笑む。
「お久しぶりです!開業の時は色々手伝ってもらいありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ先生にはお世話になりましたからな」
その後二人はしばらく雑談をして、話しの本題に入った。
「それで先生にお伺いしたい事がありまして、先生の患者さんなんですが?」
「私のクリニックの患者ですか?」
「はい、石田開二と言う男、ご存知ですか?」
それに対して、八雲は冷静な対応を取った。
「鬼塚さんはご存知だと思いますが、患者に対しては我々守秘義務があります。簡単にお答えする事は、出来ません」
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