てて

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僕は私立の中学を態々受験した。 高校までのエスカレーター式の学校で、家からは自転車で40分程かかる場所にある。 目標があっての事だったが、公立へと進学した君とは別れてしまった。 別段何とも思わなかったけれど、君とは稀に擦れ違う事があった。 下校中の事だったし、見掛けても挨拶処か声すら掛け合う事もなかったけれど、制服姿の君が友人と楽しそうに笑顔で歩いているのを目にしてほんの少しドキリとした覚えはある。 子供の体躯から大人へと変わっていく過程にある姿に、目を逸らしてしまう。 それが当たり前な時期だったんだ。 仲が良かった訳でもなく、見掛けても軽々しく話し掛け会う間柄でもない。 そんな君と擦れ違う事もなくなったという事に気付きもせず僕は順調に進級、進学をした。 高校生となった時、初めて恋人と呼べる彼女が出来た。 とても愛らしい小柄な女子だった。 ……本当に好きだったのかどうか判らないけど、彼女と過ごす日々はそれなりに楽しかったと思う。
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