22人が本棚に入れています
本棚に追加
「すげぇ家だな」
吉賀は、再びカードを使った。玄関の扉が自動で開く。
広い広い玄関。奥まで続く廊下。
「吉賀君の家っていったいなに?」
「両親とも外交官だからね。要人のお客が多いから、綺麗にしておかないといけないんだって」
「そっか、それにしてもすごいな」
「まぁ入って入って」
小村は靴を脱いで家に上がり、吉賀についていった。
ある部屋の前に来て、吉賀が扉を開けた。
「ここが僕の部屋。どうぞ」
「これが部屋? 大きなテレビに、ソファー、部屋だけで俺の家よりでかいんじゃないか?」
「でもさ、学校から帰って、一人でこんな家にいたら、どう? 話し相手 いないしさ」
「そっか、俺だったら耐えられないかもな。というか、一人ってどういうこと?」
「さっきも言ったけど、両親とも外交官だから、殆ど、日本にいないんだよ。たまに帰ってきても、すぐに、またどこかに行ってしまう」
「じゃ、飯の支度は?」
「いちおう、午前中に、お手伝いさんが来て、準備してくれんだけどね」
「金持ちってのも、面倒なんだな」
「さぁ。座って、座って」
「こんな、いいソファーに座ると、汚れるよ」
「あ、そうだね。じゃ、シャワー浴びておいでよ」
「いいのかい?」
「ぜんぜん、後で、着替えを持っていってあげるから。廊下を出て右に向かっていけば、バスルームがあるよ」
「了解」
最初のコメントを投稿しよう!