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もちろん私らしさを取り戻すために必要なことだということは頭では分かっている。でも、行動に移そうとすると、私のそんな行動を警戒しているのか、決まって母親が止めに入ってくる。家の階段の上がり端にある窓に私を引っ張ってくるのだ。決まって、ピシッと隣を指差す。隣とはもちろん奏の住む橘家のことだ。
「見て。あの青い芝生を」
確かに奏の家の芝生は青い。目映いくらいに青くて、そして広い。定期的に業者が入り、ガッチリ面倒を見ている。サッカー場さながらにゼブラカットまで施されている。
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