私の受難 再び

15/37
前へ
/37ページ
次へ
 そんな母親の話になんて付き合わず、さっさとことを済ませてしまえばよかった。今さら後悔しても仕方がない。 「よぉ」  目の前のイケメン――奏が、むかつくくらいの満面の笑みを浮かべ、私に向かって軽く手を上げているシチュエーションだから余計に。 「どなたでしたっけ?」  頭では勝てない。ならば気持ちだけは負けてなるものかと思う。ここは私の通う大学だ。私のテリトリーだ。奏なんかに荒らされてたまるか。  周囲の女子は全て奏の顔に見とれている。例外はいない。紗栄子さえもそうなのだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加