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そんな母親の話になんて付き合わず、さっさとことを済ませてしまえばよかった。今さら後悔しても仕方がない。
「よぉ」
目の前のイケメン――奏が、むかつくくらいの満面の笑みを浮かべ、私に向かって軽く手を上げているシチュエーションだから余計に。
「どなたでしたっけ?」
頭では勝てない。ならば気持ちだけは負けてなるものかと思う。ここは私の通う大学だ。私のテリトリーだ。奏なんかに荒らされてたまるか。
周囲の女子は全て奏の顔に見とれている。例外はいない。紗栄子さえもそうなのだ。
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