私の受難 再び

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 180を越す身長。足も長ければ、頭だって小さい。テレビ越しに見てもおかしくないくらいのイケメンさは、毎日変わることがない。見た目たけじゃないのだ。頭脳明晰。偏差値は80を越えていて、国内屈指の有名大学に進学している。  橘奏(たちばなかなで)。生まれた時からお隣さんで親も親友同士。気がつけば奏は私の隣にいた。奏とは兄弟のごとく、家族のごとく、当たり前に一緒に過ごしてきた。ご近所さん。幼馴染。腐れ縁。  さらに――比類のない部分ばかりが集まっているような奏が、平々凡々としたこれといって突出するところのない私のどこを気に入ったかは定かではないが、夫婦という肩書きが、私自身知りもしないところで付け加えられていた。
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