フクとの別れ

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フクとの別れ

悲しむ者は幸いです その人たちは慰められるから… マタイによる福音書 私たち夫婦が、たこ焼きの屋台を始めて三年が過ぎます。 河辺で花火大会のある時季は盛況ですが、とても商売繁盛とは言えません。 それでも何とか日々を凌いでます。 常連さんも「二人」できました。 近所の養護施設にいる女の子と、その子が可愛がってるミケという野良猫です。 私たちに子供がないせいか女の子が我が娘のように思えます。 愛する妻と二人の可愛い子たちがいる私は本当に幸福です。 それともう一人常連がいます。 少し変わった初老の神父です。 山奥にある古い教会に住んでいて神父なのに大酒飲み、さらには教会で沢山の野良猫を飼い、近隣から白い目で見られてます。 不思議な事が起こりました。 ミケは雌の老猫で出産経験はありません。 そのミケが月夜に出産したのです。 猫は一度に数匹産むものですがミケが産んだのは一匹の雄の三毛猫でした。 雄の三毛猫は大変希少なのです。 その翌日にあの神父が来て妙な事を言いました。 幸福の星の下に生まれた子猫を拝みにきました… 不思議でした。 出産のことは誰も知らないはず… 子猫は神父に自ら身を寄せました。     
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